「きゅうりん」とお別れすることになった。
きゅうりんとは、ずっと使っていた抱き枕だ。
足のタグに「きゅうりん」というロゴが記されている。
何度も修復して使っていたけど、さすがにくたびれ度が限界を超えたのでお別れすることにした。
きゅうりんとの出会いは突然だった。
東京駅に母と何らかの用事があって行った時に、通りすがりの国際フォーラムでイベントをやっていた。
ステージ上ではお笑い芸人の青木さやかが幼稚園の先生ネタをしていた、そんな時代である。
イベントスペースの一つで、カラオケで80点以上を取ったら景品プレゼント、という企画をしていた。
係の人が暇そうにしていて、すぐ歌えるようだったので参加してみた。
景品狙いで絶対に80点以上取れる曲にしようと、ZARDの「負けないで」を歌った。
結果軽く80点超えで景品をもらった。
その景品が「きゅうりん」だった。
きゅうりんは、いわば戦利品だったのである。
因みに私が歌って景品を貰うところを周囲の人々が見ていたらしく、「あんな歌でも景品もらえるんだ」となったのか、そのイベントスペースはあっという間に大行列になり、きゅうりんは飛ぶように貰われていった。
母も私の後に歌ってきゅうりんをゲットしたので、我が家には一時きゅうりんが2体いたのだが、母の妹の叔母が欲しいといったので母のきゅうりんは里子に出た。
叔母の家でも壊れたら服を着たり長く使われた模様。
今回私がきゅうりんを手放す気になったのは、見栄えが限界だったのと、アレルギーの原因の疑いが出たからなのだけど、最後にレオンと記念撮影をした。
(その後きゅうりんがレオンにもたれかかり、レオンはとても困った顔をしていた)
きゅうりん、長い間ご苦労様。